緑内障
緑内障は、目から脳に情報を送る視神経が何かしらの原因により阻害されることで、視野が徐々に狭くなる進行性の病気です。中高年に多く、40歳以上の日本人では約20人に1人が緑内障の症状があるといわれています。
自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行し、最悪の場合失明の恐れもあります。しかし、早期発見と適切な治療によって進行を抑えることができるため、定期的な検診と早期の治療が重要です。
大学病院や眼科専門病院での勤務経験から、白内障治療をはじめとした様々な症例に対して、豊富な治療経験や知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、自由が丘よつば眼科の院長として2025年に就任。
目次
緑内障とは
緑内障は視神経が損傷を受けることで、視野が徐々に狭まる病気です。
進行が進んでしまうと、視力が大幅に低下するだけでなく、最悪の場合には失明に至ることもあります。
緑内障は「サイレント・シーフ」とも呼ばれ、長期間にわたり自覚症状がないまま進行することが多い疾患です。
そのため、緑内障は早期発見と適切な治療が極めて重要です。
まずは、緑内障の発症に深い関係性がある眼圧について解説します。
眼圧とは（目の中の仕組み）
眼圧とは、眼球内部を循環する「房水」という液体によって保たれている眼球内の圧力のことです。
房水は、毛様体という部分で生成され、角膜と水晶体の間にある隙間を通って前方に流れ出します。
最終的に、隅角と呼ばれる部分を通じて排出されます。この房水の循環が正常に行われることにより、眼球の形状が適切に保たれています。
通常、眼圧は10〜21 mmHgの範囲内で維持されます。
この範囲内であれば、房水の生産と排出のバランスが保たれています。
しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れると、眼圧が上昇しすぎることがあります。
この状態が続くと、徐々に視神経に負担がかかり、最終的には視神経が損傷を受けることになります。
一般的には眼圧が高くなると緑内障のリスクが上がるとされていますが、「正常眼圧緑内障」という、正常な範囲の眼圧でも視神経に損傷が現れるケースも存在します。
緑内障は国内の失明原因第1位
視神経は、目で捉えた視覚情報を脳に伝達する重要な役割を果たしており、これが損傷されると情報を伝達する能力が低下します。
そのため、視野に欠損が生じ、徐々に視覚機能に影響が生じて、最悪の場合には失明に至ります。緑内障は日本国内で失明の原因として最も多く挙げられる眼疾患です。
日本では、特に60歳以上の高齢者においてその発症率が高くなっております。
緑内障の種類
緑内障にはいくつかの種類が存在し、それぞれ原因や治療アプローチが異なります。
原発緑内障
原発緑内障は、緑内障の中で特に一般的に見られるタイプで、視神経に直接影響を及ぼす進行性の眼疾患です。
原発緑内障には、房水の流出が妨げられる「原発閉塞隅角緑内障」と、流出の隅角は開いたままにもかかわらず眼圧が上昇する「原発開放隅角緑内障」の主に2つのタイプが存在します。
①原発閉塞隅角緑内障
原発閉塞隅角緑内障は、目の内部構造の一部である「隅角」が狭くなることが原因で、房水と呼ばれる透明な液体の排出が妨げられます。
房水は眼球内で産生され、通常は隅角を通じて排出されますが、この排出が妨害されると房水が眼球内に溜まり、急速に眼圧が上昇します。
この急激な眼圧上昇は視神経に大きな負担をかけ、急性の発作として視野が突然狭くなることが特徴です。
また、激しい目の痛みや吐き気、頭痛なども同時に発生することが多く、日常生活に大きな支障をきたします。
これらの症状が発生した場合、適切な治療を遅らせると、視神経の損傷が進んで失った視野が元に戻らないため、直ちに眼科医の診断と治療を受けましょう。
②原発閉塞隅角緑内障
原発開放隅角緑内障は、緑内障の中で最も一般的なタイプです。この状態では、隅角が開かれたままであるにもかかわらず、房水の排出が不十分で、眼圧が上昇することが特長です。眼圧の上昇は通常、徐々に進行するため、自覚症状が初期段階では現れにくいという特徴があります。そのため、多くの患者は初期の段階でこの病気に気づかず、進行した段階で初めて症状を自覚することがあります。
続発緑内障
続発緑内障は、他の病気によって発症する緑内障で、二次的な疾患として分類されます。
このタイプの緑内障は、眼自体の問題以外にも、全身的な疾患や特定の薬剤を使用することによる原因で発症することがあります。
具体例として、目の炎症や糖尿病、目の外傷、長期間のステロイド薬使用などの影響が挙げられます。
これらの要因によって発症した続発緑内障は、原因となる根本的な疾患や状態の管理が不可欠です。
診断と治療においては、眼科医と他の病気の専門医との連携により、多面的なアプローチが必要となります。
発達緑内障
発達緑内障は、通常先天的な要因によるものであり、乳幼児期や小児期に発症します。遺伝的要素が大きく関与しており、家族に緑内障の既往歴がある場合、リスクが高まることがあります。
発達緑内障は早期の発見と適切な治療によって、症状を抑制できます。早期発見には保護者による定期的な検診への参加が重要です。
緑内障の症状と見え方
緑内障はゆっくりと進行することが特徴的であるため、自覚症状がないまま進行することが多いですが、病状の進行に伴い視力に深刻な影響を与えることがあります。
初期症状
緑内障の初期段階では、多くの場合、自覚症状がほとんど見られません。
視野のわずかな欠損が生じることがあっても、日常生活の中で認識するのは難しいものです。この段階の視野欠損は中心から外れた部分で起こることがほとんどのため、患者さま自身での発見はあまりありません。
そのため、早期発見のためには、定期的な眼科検査により眼圧を測定することが大切です。
中期症状
緑内障の症状が進み中期になると、視野欠損が広がり始め、自覚できるほどの視覚的障害が現れます。
具体的には、階段を下りる際に、段差が見えづらくなることでつまずいたり、視野の端にある物の存在に気付かなくなるといった問題が生じます。
この段階になると、放置するとさらに症状が進む恐れがあるため、早期の治療が必要です。
重度症状
病気が進行して重度の段階に至ると、視野はさらに大幅に狭まり、「トンネル視」と呼ばれる状態に進行します。この状態では、視界が筒状に狭まってしまい、生活の多くの場面で支障をきたします。具体的には、歩行や運転、日常の家事などにも支障をきたし、生活の維持が難しくなることがあります。視力を失うリスクが非常に高くなるこの段階では、いち早くの治療が必要です。
症状のセルフチェック
緑内障は進行が非常にゆっくりで、自覚症状が表れるころには病状が進んでいることが多いため、日頃から目の状態をチェックして、視界に少しでも違和感を感じたら眼科を受診しましょう。
上の図を片目をつむり、正面約30センチのところから中心のマークを凝視してください。
そこで以下のような症状があれば、眼科の受診をおすすめします。
- 視野が欠けたところがある
- 視界の一部が暗く感じる
- マス目が歪んで見える
1つでも当てはまったら、早めの受診を！
緑内障が進行して視神経に損傷が及んでしまうと、元に戻せないため、早期の段階での発見と対応が重要です。
気になる症状が有るなら迷わず眼科医を受診しましょう。
眼科医による診察や検査、そして進行を抑えるための治療の実施が必要です。
緑内障の検査
初期段階では自覚症状が少ない緑内障の早期発見には、専門的な検査が必要です。以下に主な検査方法を紹介します。
眼圧検査
眼圧検査は、緑内障の診断や眼の健康状態を把握するための基本的な検査です。この検査では、眼球内の房水という液体により生じる圧力（眼圧）を測定します。通常の眼圧は約10〜21 mmHgの範囲内ですが、これを超える高眼圧が認められる場合、緑内障のリスクが高まるとされます。眼圧を測定する方法としては、トノメーターと呼ばれる機器を用いる方法が一般的です。空気を吹きかけて眼圧を測定できるため、痛みを伴わず、簡単に検査が行えます。
隅角検査
隅角検査は、眼球内部の「隅角」を調べることで、緑内障のタイプを特定するために行われます。隅角とは、虹彩と角膜の間にある器官で、この部分を通じて房水が排出されます。この検査によって、隅角がどの程度開いているかや、その形状を確認します。
視野検査
視野検査は、視野欠損の有無やその進行具合を観察するために実施されます。この検査では、患者さまがどこまでの範囲を視覚的に認識できるかを調べます。
網膜神経線維層検査（OCT）
網膜神経線維層検査、通称OCT検査は、網膜や視神経の状態を詳細に観察可能な最新の検査方法です。初期段階での視神経の損傷や網膜の変化を観察することが可能であり、緑内障の早期発見や進行度の評価に非常に有用です。
緑内障の治療
緑内障の治療は病気の進行を抑制し、視力を維持することを目的としています。
緑内障から視力を保護することにおいては早期の治療が大切です。
治療の目的は進行抑制
初期段階では、眼圧を低下させるための点眼薬を使用します。
点眼薬は房水の産生を抑制または流出を促進する役割を持ちます。病気が進行している場合、より専門的な治療が必要となります。レーザー治療や手術を行うことで、眼圧を下げて視神経の保護を行います。
治療は進行の抑制が目的となり、一度失った視野は元に戻りません。
そのため、早期発見と適切な治療により、視野を失う前に抑制することが重要です。
それぞれの患者さまの目の状態や緑内障の進行度合いに合わせて、適切な治療法を選択します。
緑内障治療における当院の取り組み
当院では、眼圧の検査をはじめとして隅角検査や視野検査、さらに網膜神経線維層検査（OCT）を実施し、緑内障の早期発見に取り組んでいます。
また、初期段階の進行抑制を行い、医師がより専門的な治療が必要と診断した場合、最新設備を兼ね備えた本院「きたあやせよつば眼科」での治療・手術をご案内しております。
本院での治療・手術後のアフターケアは当院で行っており、患者さまが安心して治療を行える環境を整えております。
緑内障のレーザー治療・手術
当院のにあたる本院「きたあやせよつば眼科」では、緑内障のレーザー治療や手術も実施しております。
緑内障の種類に合わせて適切な治療を提供
緑内障に対しては、複数の種類のレーザー治療および手術をに対応しております。
緑内障に対する幅広い知見を持つ専門医により、患者様の具体的な症状や緑内障のタイプに応じて、最適な治療法を提案いたします
最新の医療機器を導入
最新の医療技術を導入し、新しい機器を使用した精度の高いレーザー治療や手術を行っています。これにより、患者様により安心・安全で身体への負担の少ない治療を実施可能です。
白内障との同時手術にも対応
緑内障だけでなく白内障の症状が見られる場合、緑内障の治療とともに白内障手術を同時に実施することも可能です。
複数の目の病気や症状に対して効率的に治療を行うことで、患者様の負担を軽減することに取り組んでおります。
まとめ
緑内障は、目から脳に情報を送る視神経が何かしらの原因により阻害されることで、視野が徐々に狭くなる進行性の病気です。
40歳以上の日本人では約20人に1人が緑内障の症状があり、日本国内で最も多い失明原因の1つとなっております。
初期症状では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行してしまいますが、緑内障が進行によって失った視野は元に戻せないため、
早期発見のための定期的な眼科検査が重要となります。
当院では眼圧検査をはじめ、最新の検査方法である「OCT検査」も導入し、緑内障の早期発見に努めています。
初期段階の進行抑制治療を行うとともに、専門的な治療が必要になった場合は本院「きたあやせよつば眼科」との連携により、最適な治療方法をご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。
自由が丘よつば眼科医院では、WEB予約またはお電話予約を承っております。 予約していただくことによって、診療までの待ち時間が少なくなります。
※視野検査・眼鏡処方・コンタクトレンズ・オルソケラトロジーのご予約はWeb予約では承ってません。直接当院へお問い合わせください。
大学病院や眼科専門病院での勤務経験から、白内障治療をはじめとした様々な症例に対して、豊富な治療経験や知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、自由が丘よつば眼科の院長として2025年に就任。
