結膜の病気
HOME > 結膜の病気

結膜の病気といえば結膜炎を思い浮かべる方が多いでしょう。結膜炎とは、さまざまな刺激やウイルスなどが原因で結膜が炎症を起こしている状態です。結膜炎は原因や症状によって複数種類に分類されます。結膜の病気には結膜炎以外にも、結膜下出血や結膜弛緩症、翼状片などの病気があります。
結膜は外界の刺激から目の表面を保護する大切な役割を担っていますが、外界に晒されているため刺激を受けて炎症を起こしやすい特徴もあります。
結膜の病気が疑われる場合は、早めに眼科を受診し適切な治療を受けましょう。

大学病院や眼科専門病院での勤務経験から、白内障治療をはじめとした様々な症例に対して、豊富な治療経験や知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、自由が丘よつば眼科の院長として2025年に就任。
目次
結膜炎

結膜炎とは、ウイルスや外界からの刺激などによって結膜が炎症を起こしている状態のことをいいます。
原因や症状によって以下の3つに分類されます。
- アレルギー性結膜炎(花粉症)
- 細菌性結膜炎
- ウイルス性結膜炎
それぞれの特徴や治療法、注意点を詳しく解説します。
アレルギー性結膜炎(花粉症)

アレルギー性結膜炎とは、目の表面にアレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)が付着することによって結膜が炎症を起こす病気です。
結膜とは、まぶたの裏側と白目部分を覆う粘膜のことで、アレルゲンには花粉やハウスダストなどがあります。
アレルギー性結膜炎では以下のような症状が現れます。
- 目の痒み
- 目の充血
- 目やにや涙が出る
- 目の異物感
アレルギー性結膜炎を引き起こす主なアレルゲンと発症時期
スギ花粉 | 1〜5月 |
---|---|
ヒノキ花粉 | 3〜5月 |
カモガヤ花粉 | 5〜7月 |
ブタクサ花粉 | 8〜10月 |
ハウスダスト | 1年中 |
コンタクトレンズの汚れ | 1年中 |
アレルギー性結膜炎は以下の2つに分類されます。
- 季節性アレルギー性結膜炎
- 通年性アレルギー性結膜炎
花粉症など特定の季節に症状が現れるものは季節性アレルギー性結膜炎で、季節問わず年中症状が現れるものは通年性アレルギー性結膜炎といいます。
アレルギー性結膜炎の予防
アレルギー性結膜炎の予防するためには、できるだけアレルゲンに触れない対策を行うことがポイントです。
花粉症の方であれば、外出時はマスクやメガネを着用することで、花粉の付着を防げます。帰宅後は衣類や髪などについた花粉を払い落として、手洗い、うがい、洗顔をするとよいでしょう。
ハウスダストの方は、こまめに掃除をして埃が溜まらないよう心がけましょう。布団をこまめに天日干しすることも大切です。
当院のアレルギー治療
当院ではアレルギー症状を抑えて悪化しないようにする対処療法を行っています。
主な治療は以下の3つです。
- 目の痒みなどの症状を抑える
- 抗アレルギー薬による治療
- 副腎皮質ステロイド薬の投与
まずは、症状が悪化しないよう適切な薬を処方して、症状の改善を促します。アレルギー性結膜炎の症状は薬によって改善が可能ですので、これまで花粉症などで悩まれてきた方も諦めずに治療しましょう。
抗アレルギー薬による治療では、ヒスタミンH1拮抗薬とメディエーター遊離抑制薬を処方します。ヒスタミンH1拮抗薬には、痒みを引き起こすヒスタミン作用を阻害する効果があります。そのため痒み症状が強く出ている時に有効です。
メディエーター遊離抑制薬はヒスタミンなどの増加を抑える効果があります。効果が出るまで2週間程度かかりますので、花粉が飛散する2週間ほど前から点眼を始めておくと花粉が飛散している期間中の症状を軽減することが可能です。
強いアレルギー症状が出ている時には、副腎皮質ステロイド薬を処方します。副腎皮質ステロイドは強力な効果がみられ、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などにも有効な優れた薬です。しかし、副作用として眼圧上昇などの症状がみられることがあるため注意が必要です。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎とは、結膜が細菌に感染することによって引き起こされる病気です。子どもや高齢者に罹りやすい傾向にあります。
原因となる細菌はさまざまですが、インフルエンザ菌や黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などの細菌があり、感染力は強くないため、人に移りにくい結膜炎です。
症状は、目の充血や目の痒み、粘着性の黄色い目やにが生じます。
涙の自浄作用によって自然治癒することもありますが、重症化することで視力が低下したり失明につながったりすることもあるため、適切な治療を受けましょう。
治療では抗生物質が入った点眼薬を使用します。点眼治療を行うことで3日〜1週間程度で症状が改善します。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎とは、ウイルスの感染によって結膜が炎症を起こす病気です。
代表的なウイルス性結膜炎は以下の3つです。
- 流行性角結膜炎
- 咽頭結膜熱
- 急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
流行性角結膜炎は、アデノウイルス(8型・19型・37型・53型等)による感染が原因で生じる疾患です。感染力が非常に強いことから「はやり目」とも呼ばれており、感染すると5日〜2週間程度の潜伏期間を経た後に発症します。多量の目やにや充血、まぶたの腫れ、結膜のむくみ、耳前リンパ節の腫れや圧痛などの症状があり、ウイルス性結膜炎の中でも強い症状が現れやすい点が特徴です。
夏場に流行しやすく、発症後、2週間程度で黒目部分が濁り、目のかすみや眩しさを訴える方も多くいらっしゃいます。多くの場合、自然と消失しますが、炎症が強いとドライアイを引き起こしたり結膜に瘢痕を残したりすることもあります。
流行性角結膜炎は学校感染症第3種であり、感染力がなくなったという医師の診断が出るまで、登園・登校ができず、出席停止となるので注意が必要です。
咽頭結膜熱
咽頭結膜熱とは、アデノウイルス(3型・4型・7型・11型等)による感染が原因で生じる疾患です。小児の間で夏風邪として流行し、プールを介して感染・流行するケースがあることから「プール熱」とも呼ばれます。
5〜7日ほどの潜伏期間を経て、39度前後の発熱や目の充血、目やに、喉の痛み、倦怠感などの症状が現れます。
咽頭結膜熱は学校感染症第2種であり、主な症状が消失してから2日後、もしくは感染の恐れがないと医師の判断が出るまで、登園・登校ができず、出席停止となります。
流行性角結膜炎と咽頭結膜熱のどちらの場合も、アデノウイルスに対して有効な薬剤が現時点ではありません。そのため、二次感染を防ぐための点眼薬を使用しながら自然治癒を待ちます。
急性出血性結膜炎
急性出血性結膜炎とは、エンテロウイルス70型かコクサッキーウイルスA24変異株の感染によって生じる疾患です。急性出血性結膜炎は通年性であるため、季節問わず発症します。
1〜3日ほどの潜伏期間を経て、強い目の充血が現れるのが特徴です。目やにや異物感などの症状もあります。
急性出血性結膜炎は学校感染症第3種であり、感染力がなくなったという医師の診断が出るまで、登園・登校ができず、出席停止となるので注意が必要です。
アデノウイルスと同様に、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスに効く有効な薬剤は現時点でありません。二次感染を防ぐための点眼薬を使用しながら自然治癒を待ちます。
結膜下出血

結膜下出血とは、結膜下にある小さな血管が破れて出血したものです。出血が結膜の下で広がるため、白目部分が赤く染まるのが特徴です。小さな斑点のように赤くなるものから、眼球の結膜を覆うほど広範囲に広がるものもあります。
結膜下出血と結膜充血は症状が似ているため、間違う方も少なくありません。結膜下出血と結膜充血の違いは、血管の走行が見えるかどうかです。
結膜下出血の場合は、血管が破れて出血しているため、血管の走行は見えません。一方で、結膜充血の場合は細い血管が拡張しているため、血管の走行が目立ちやすくなります。
また、結膜下出血の症状は目がゴロゴロするなどの違和感はありますが、痛みはありません。目の痒みや目やに、視野が狭くなるなどの症状もありません。万が一、これらの症状が出る場合は眼科を受診するようにしてください。
結膜下出血の原因はさまざまで、不明な場合も多くあります。外傷や目を擦るなどの刺激によるもののほかに、くしゃみや咳、月経などによっても出血することがあります。
多くの場合、1〜2週間ほどで出血が自然に吸収されるため、心配する必要はありません。ただし、症状が強いと吸収されるのに2〜3ヶ月かかるケースもあります。症状が長引くようでしたらすぐに眼科を受診しましょう。
注意!
自然と改善する場合は治療が不要ですが、眼外傷を受けたことによって出血している場合はすぐに治療が必要です。 また、痛みや痒みなどを伴う場合は、急性出血性結膜炎や流行性角結膜炎などの疑いがあります。他の人に移さないようにするためにも、診察を受けて適切な処置を受けましょう。
POINT
頻繁に結膜下出血を繰り返す場合は、動脈硬化や糖尿病、高血圧、白血病、紫斑病などの疑いもありますので内科で検査を受けたほうがよいでしょう。
結膜弛緩症
結膜弛緩症とは、結膜がたるんでしまう状態のことをいいます。眼球運動に耐えられるよう、元々結膜には適度な緩みはありますが、この緩みが平均より強い場合に結膜弛緩症と診断されます。
下まぶたに沿ってたるみが生じますが、症状が強いと、黒目部分までたるみが盛り上がることもあります。
強い痛みはないものの、不快な異物感があり、涙が出やすくなります。涙が出る原因は、ゆるんだ結膜がひだを作ることで涙の流れを阻害し、ひだ部分に涙が溜まって溢れ出てしまうからです。

結膜弛緩症を発症する原因は明確になっていません。ただ、加齢によって結膜の緩みは強くなるため、結膜弛緩症を発症しやすい傾向にあります。また、コンタクトを使用している方も症状が出やすいことが分かっています。
そのほかにも、結膜がたるむことで毛細血管が引っ張られて出血してしまう「結膜下出血」を引き起こすことがあります。
結膜下出血を繰り返し発症する方が結膜弛緩症であるケースは多いといえます。
結膜弛緩症とは、結膜が主な結膜弛緩症の治療は、目薬によるものです。軽度の症状であればレバミピド点眼薬やステロイド点眼薬を使用します。症状が重度の場合は、緩んだ結膜を切除する手術を行うこともあります。
翼状片

翼状片とは、結膜の組織が黒目部分にまで進入してくる疾患です。目頭側でみられることが多いですが、目尻側や上下で生じることもあります。黒目部分にまで進入してきた結膜の組織が、鳥の翼のような見た目をしていることから「翼状片」と呼ばれるようになりました。
原因は不明ですが、紫外線によく当たっている方に生じやすい病気です。加齢によっても発症しやすい傾向があり、そのほかにも長期的にコンタクトをしている方など慢性的な刺激によっても発症しやすいといわれています
。
翼状片を発症すると、目の中がゴロゴロするなどの異物感や充血症状が現れます。ゆっくりと症状が進行する特徴があり、黒目部分まで進入した組織が白く濁り盛り上がってきます。組織の進入が進行することで乱視がみられ、視力低下につながることがあります
。
翼状片の治療は、充血などの症状に合わせて点眼薬を使用します。視力の低下を引き起こしたり、見た目を気にされたりする場合は、組織を切除する手術を行うこともあります。
ただし、手術を行っても再発率が高いことや充血症状が残りやすいという注意点もあります。紫外線などの刺激によって発症しやすいため、外出時はサングラスや日傘を使用して紫外線対策による予防を行いましょう。
まとめ
さまざまな刺激やウイルスなどが原因で結膜が炎症を起こす結膜炎は身近な目の病気の1つです。アレルギーや一過性のものと思い込み、放置される方は少なくないと思います。
しかし、結膜は外界の刺激から目の表面を保護する大切な役割を持っているので、結膜に異変を感じた場合は早めに眼科を受診しましょう。

大学病院や眼科専門病院での勤務経験から、白内障治療をはじめとした様々な症例に対して、豊富な治療経験や知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、自由が丘よつば眼科の院長として2025年に就任。
お気軽にお問い合わせください。
自由が丘よつば眼科医院では、WEB予約またはお電話予約を承っております。
予約していただくことによって、診療までの待ち時間が少なくなります。
※ご予約なしの場合でも診察は可能です。ただし、ご予約の方が優先となりますので、予めご了承ください。
※視野検査・眼鏡処方・コンタクトレンズ・オルソケラトロジーのご予約はWeb予約では承ってません。直接当院へお問い合わせください。