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硝子体注射は、主に加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの網膜の病気に対して行われる治療法です。これらの疾患では、目の中に異常な血管が発生して視力低下を引き起こすため、血管の成長を抑える薬(抗VEGF薬)を眼球内に直接注射することで症状の進行を防ぎます。当院では保険適用の治療として実施しており、眼科医が患者様一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てています。
大学病院や眼科専門病院での勤務経験から、白内障治療をはじめとした様々な症例に対して、豊富な治療経験や知見を持っています。本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、自由が丘よつば眼科の院長として2025年に就任。
抗VEGF薬(血管内皮増殖因子阻害薬)は、目の網膜疾患治療において重要な役割を果たします。この薬剤には主に以下の3つの作用があります。
血管閉塞により網膜が酸素不足(虚血状態)になると、網膜からVEGF物質が過剰に放出されます。このVEGFは網膜浮腫や異常血管形成の原因となるため、抗VEGF薬はこれを中和して症状の進行を防ぎます。治療対象となる主な疾患は以下の通りです。
硝子体注射は、主に網膜や黄斑の病気に対して行われる治療法です。ここでは、代表的な対象疾患についてわかりやすくご紹介します。
加齢黄斑変性症は、50歳以上の方に多く見られる病気で、視力の中心を担う黄斑部に異常な新生血管が発生することで視力が低下します。特に「滲出型(ウェット型)」と呼ばれるタイプが、硝子体注射の主な治療対象です。
治療には、ルセンティスやアイリーアなどの抗VEGF薬が用いられます。これらの薬剤は、新生血管の成長を促す「血管内皮増殖因子(VEGF)」の働きを抑えることで、異常な血管の発生や進行を防ぎ、視力の低下を食い止めます。
初期治療では通常、月に1回の注射を数回行い、その後は症状や検査結果に応じて注射の間隔を調整していきます。適切な治療により、視力の維持や改善が期待できます。
糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として発症する目の病気です。高血糖が続くことで網膜の毛細血管が傷つき、出血やむくみを引き起こします。
初期から中期までは自覚症状が少ないこともありますが、血糖値のコントロールが不十分な状態が続くと、網膜の中心部である黄斑にむくみが生じ、糖尿病黄斑浮腫を発症します。進行すると、視界のゆがみやぼやけ、見える範囲の縮小、さらには視力の大幅な低下を招くこともあります。
糖尿病黄斑浮腫の治療では、抗VEGF薬による硝子体注射を行います。硝子体注射で網膜の浮腫(むくみ)を防ぎ、異常な血管新生を抑制する効果が得られます。
網膜静脈閉塞症は、網膜内の静脈が詰まり、血液の流れが滞ることで発症する病気です。この影響で網膜に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなり、視界のぼやけや視力の低下といった症状が現れます。
主に60歳以上の方に多く見られ、高血圧や糖尿病といった生活習慣病による動脈硬化が主な原因です。また、加齢による血管の変化や血液の粘度上昇、ぶどう膜炎などの炎症性疾患も発症リスクを高めます。
網膜の枝分かれした静脈の一部が詰まるタイプの網膜静脈閉塞症の治療には、抗VEGF薬の硝子体注射が有効です。注射によって黄斑部のむくみを軽減し、視力の改善を目指します。
病的近視は、強度近視により眼球が前後に伸びて変形し、眼底にさまざまな異常が起こる状態です。中でも脈絡膜新生血管が発生すると、出血や滲出が起き、視力が急速に低下することがあります。
主な症状として、視力全体の低下、線や模様が歪んで見える「変視症」、黒い点や糸くずのようなものが見える「飛蚊症」、光がちらつく「光視症」、中心部分が暗くなる「中心暗点」などがあります。
脈絡膜新生血管が認められた場合には、抗VEGF薬の硝子体注射が有効です。新生血管の活動を抑えることで、出血やむくみを軽減し、視力の維持に役立ちます。
続発緑内障は、他の病気や薬の副作用によって眼圧が上昇し、視神経に障害が起こる病気です。主な原因としては糖尿病や白内障などの眼疾患のほか、ステロイド点眼剤の長期使用が挙げられます。特にアレルギー性皮膚炎や花粉症の治療で使われるステロイド入り目薬を長期間使用すると、眼圧が上昇して緑内障を引き起こすことがあります。続発緑内障はゆっくりと進行するため、初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、定期的な眼圧検査と視野検査が重要です。
続発緑内障の中でも、「新生血管緑内障」は、虹彩や隅角(房水の排出口)に新しい血管が異常に増えることで眼圧が上昇するタイプです。この場合、抗VEGF薬の硝子体注射が治療に有効なことがあります。
POINT
いずれの疾患においても、硝子体注射は繰り返し治療が必要になることが多く、定期的な経過観察が欠かせません。また、眼内炎などの合併症リスクもあるため、眼科専門医による慎重な管理のもとで治療を行うことが必要です。早期発見と適切な治療により、多くの場合、視力低下を防ぎ、視機能の維持・改善が可能です。
01
点眼麻酔の実施
はじめに、目の表面に麻酔薬を数回点眼し、痛みを感じにくくします。注射時の不快感を軽減するための大切な工程です。あわせて、感染症を予防するために、目の表面やまつ毛、目の周囲の皮膚まで含めて、ヨード系の消毒液などを使用して広範囲に消毒を行います。
開瞼器の装着
手術中に自然と目が閉じてしまわないよう、専用の開瞼器(かいけんき)という器具を使って、まぶたを広げた状態に固定します。
薬剤の注射
黒目(角膜)と白目(強膜)の境目から約4mm離れた白目の部分に、極めて細い針を用いて硝子体内に薬剤を注入します。注射する位置は眼の構造への影響を最小限に抑えるために慎重に選ばれています。注射自体は数秒で完了します。 注射後、感染予防のために抗菌作用のある眼軟膏を目の表面に塗布します。 治療後は、医師の指示に従って点眼薬の使用や生活上の注意点を守ることが大切です。硝子体注射は通常、外来で行われ、全体の処置にかかる時間はおよそ1時間程度です。
当院では以下のような計画で、硝子体注射を実施します。
加齢黄斑変性(滲出型)、ポリープ状脈絡膜血管腫症、網膜血管腫状増殖などの脈絡膜から異常な血管が発生する疾患では、以下の治療手順で進めます。
近視による脈絡膜新生血管や、様々な原因による黄斑浮腫の場合は、以下のように治療します
どちらの場合も、定期的な検査と経過観察が重要です。治療効果や再発状況に応じて、個々の患者様に最適な治療計画を立てていきます。
硝子体注射は非常に小さな注射痕が残るので、この部分から細菌が侵入して眼内炎を引き起こす可能性があります。眼内炎が発生すると重度の視力低下など深刻な合併症を招くことがあるため、注意が必要です。 感染リスクを最小限に抑えるために、注射後は一定期間、入浴や洗顔、化粧、車の運転などの日常活動を控えていただくことが重要です。担当医師からの具体的な指示に従いましょう。
感染予防のため、硝子体注射後は抗生物質の目薬を朝・昼・夜・就寝前の1日4回、3日間にわたって使用していただきます。
硝子体注射を受けた当日は、原則として入浴や洗顔は避けてください。ただし、眼帯をしっかり付けたまま、顔に水がかからないよう注意すれば、首から下の軽いシャワーは可能です。顔を清潔にしたい場合は、濡らした清潔なタオルで軽く拭く程度にし、特に注射を受けた目の周りには触れないようにしましょう。
化粧品やメイク道具には通常時は問題ない程度の微生物が付着していますが、注射後は目に小さな傷があるため感染リスクが高まっています。そのため、医師の許可があるまではメイクを控えてください。
注射後は片目に眼帯をしていることで視野が制限されるため、自動車はもちろん、バイクや自転車などの運転も控えてください。安全のためにも公共交通機関の利用をお勧めします。
注射後は激しい運動や頭を大きく動かす活動は避けてください。目に負担をかける動きは治療部位への悪影響や感染リスクを高める可能性があります。
当院で行っている硝子体注射は健康保険が適用される保険診療です。治療費は患者様の年齢や所得に応じた自己負担割合(1〜3割)でお支払いいただけます。 また、硝子体注射を含む医療費が高額になった場合には、「高額療養費制度」をご利用いただけます。この制度を利用すると、ひと月あたりの医療費の自己負担額が一定の上限を超えた分については、後から払い戻しを受けることができます。詳細な自己負担限度額や申請方法については、厚生労働省の公式情報(高額療養費制度を利用される皆さまへ)をご参照いただくか、当院スタッフにお気軽にご相談ください。
主に網膜の病気に対して行われる硝子体注射は、異常血管に対して有効な治療方法です。 しかし、非常に小さな注射痕が残るので、この部分から細菌が侵入して眼内炎を引き起こす可能性があるため、術後は医師の指示に従うことが大切です。 当院では保険適用の治療として実施しており、眼科医が患者様一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てていますので、お気軽にご相談ください。
自由が丘よつば眼科医院では、WEB予約またはお電話予約を承っております。 予約していただくことによって、診療までの待ち時間が少なくなります。※ご予約なしの場合でも診察は可能です。ただし、ご予約の方が優先となりますので、予めご了承ください。
※視野検査・眼鏡処方・コンタクトレンズ・オルソケラトロジーのご予約はWeb予約では承ってません。直接当院へお問い合わせください。